お店探訪記 / カネカ水産花見川店
日本の食卓には欠かせない魚!
春夏の鰹や鯵、秋冬は脂の乗った秋刀魚や鰤など…季節折々に旬を迎えた魚は旨味が増して、ごはんのおかずはもちろん、酒の肴にもぴったりの味覚ですよね。
しかし、「お魚大国日本」などと言われながらも、処理の面倒さや生ごみの臭い問題などから、特に若い世代は自宅で魚を食べなくなってきているとも言われ、年々消費量は減少傾向…
一般的なスーパーの中でも、鮮魚売り場はあまり売り上げが上がらないコーナーとも言われています。
しかしそんな中、売り上げの4割を魚売り場が占めるというスーパーが千葉にあります。
カネカ水産さんは戦後まもない1947年に魚屋さんとして創業し、現在は千葉県内に3店舗を構える老舗スーパーです。
市場から直接仕入れている新鮮なマグロをはじめとする鮮魚、肉、野菜の生鮮3品は、安さとその鮮度に定評があり、地元の方々に愛されています。
まずは野菜売り場。
店先に並べられた果物は種類も豊富で価格がお手頃なのも嬉しい。
そして普通のスーパーでは見たことのない品種も!
実はカネカ水産さんは飲食店の方が仕入れにも来られるそうで、鮮魚に特化しているばかりでなく、ハーブ類や珍しい野菜、お洒落な野菜も充実しています。
もちろん定番の野菜も立派で新鮮、お手頃価格なものが並びます。
そして、メインの魚売り場が…
え…ひ、広い!!!
なんと売り場の1/4もの広さが魚売り場だというカネカ水産さん。
まずお出迎えしてくれたのは、新鮮なお魚…
ではなく、ずらりと並んだ大量のお寿司!
一般的なスーパーでは、お惣菜コーナーに申し訳程度にちょこん…と並んでいることの方が多いお寿司ですが、カネカ水産さんでは魚売り場の最初に専用コーナーが設けられています。
新鮮なネタはもちろん、何度も試作を繰り返したこだわりのシャリを使用。
実際に食べてみましたが、とてもスーパーのお寿司とは思えない感動の美味しさ。
マグロはもちろん、脂っこく硬くなりがちなヒラメの縁側までもジワっと脂が舌の上で溶ける絶品のお寿司でした!
巻物も充実しており、予約をすれば大人数用のお寿司も用意してもらえます。
さらに売り場を進んで行くと…
牡蠣をはじめとした殻付きの立派な貝や、
丸のままの立派な魚も!
鯵や鯛、メバルや、イカはじめ、旬の真鯖も並びます。
お造りも美味しそうですが、お刺身用のサクもとても立派です。
そしてこの大きさでこの値段、素晴らしい!
一押しのマグロもずらりと並びます。
さらにこんなに大きなマグロのカマ焼きも!
マグロを一本仕入れるからこそできる豪快な商品…
マグロを仕入れたときは売り場の一角でマグロの解体ショーも開催されるそう!
まさに魚のテーマパークのような魚売り場で、見ているだけで楽しめます!
そして、あまりの興奮ぶりと食べたい気持ちが溢れ出ていたのか…
ありがたいことに大トロのお刺身を味見させていただくことに…!
綺麗にサシが入った身は、一口頬張ると脂がじわりととろけて…甘い!!
こんなに美味しい大トロのお刺身が1000円以内で買えてしまうとは、八千代市市民がうらやましすぎます…!
お客様に今日のオススメの魚を紹介しているこちらの高澤さん。
実は市場での仕入れを担当されている、長年魚の目利きをしてきた大ベテランです。
実際にお買い物に来られた方も、
「最近は魚屋さんも減っているでしょう? ちゃんとした手料理で家族のお腹をいっぱいにしてあげたい私の世代からしたら、普通のスーパーにはスカスカな切り身ばかりでロクな魚がないのよね。ここは味がいいのはもちろん、ホンモノの魚があるの」
と、かなり厚い信頼を置いているようす。
さらに、一般のお客様だけでなく、飲食店を営む方や業者の方も多く利用されていて、なんと朝は開店前に行列ができているのだとか!
高澤さんに美味しい魚の見分け方をお聞きすると。
「まず、どんな魚でも大切なのはお腹を軽く押してみて、簡単に凹んでしまうようなのは脂がのっていない証拠。でもただ膨れていればいいわけじゃなく、魚が食べた内容物の場合もあるし、卵が入っていたりすると本体は栄養を取られている時期だから身が痩せておいしくない。それを見極めるのが大事」
「まあ、そもそもウチにはちゃんと見極めたいい魚しか置いてないんだけどね」
と微笑む高澤さん。
さらに、
「今日は愛媛のスルメイカしかないけど、本当は北海道や青森の方がおいしい」
「その魚は旬が過ぎてるからこっちの方がいいよ」
と、なんとも正直なお言葉!!
本当に美味しい魚を食べてもらうためのプロ意識を感じます。
カネカ水産さんは、仲買人を通さず、市場から直接魚を仕入れることができる、つまりセリに参加できる「売買参加者」です。
豊洲市場でのセリに必要なこの「セリ帽」と言われる帽子。
戦後まもない1947年創業の70年も続くカネカ水産さんは、買参権第一号を取得し当時から築地の競り場にたっていたのだそう!
そしてスーパーの裏に停められていたのは、
カネカ水産さんのトラック!
このトラックで毎朝市場から新鮮な魚を買い付けて、店頭に並べています。
直接市場から仕入れることで、価格を抑えることはもちろん、ホンモノの目利きを通した品選びと日々早朝から魚を仕入れる努力を通して本当に良い魚だけを選ぶことで、本当に美味しい魚をみなさんの食卓に届けているのです。
想いだけでなく、長年培った経験や、日々新鮮な魚を届けるために尽力されているカネカ水産さんは地元の方や周辺の飲食店の方にも長年愛されています。
その中でも「カネカ水産・花見川店」は、古くからある団地に囲まれた地域のため、ご年配のお客様も多く、こうやってコミュニケーションを取ることも楽しみにされている方が多いそう。
長年カネカ水産さんに足を運んでくださる方々に愛されている一方で、もっと若い方たちにも足を運んでもらって、ホンモノの魚の美味しさを食卓で楽しんでほしいという想いも強いといいます。
ウロコ取りや魚の下処理はお願いすればやってもらえたり、いまどんな魚が美味しいかわからないときは気軽に聞いたら満面の笑顔で自慢の魚を紹介してもらえる。
そんな頼もしい「カネカ水産」さんは、玄人だけでなく素人が魚の魅力に触れるのにもぴったりのスーパーだと思います。
本物の魚、本当に美味しい魚を食べたい方はぜひ足を運んでみてくださいね!
取材・撮影|ライター 小泉優奈
お店探訪記 / カネカ水産花見川店